Photos of Ruins

番外編 ― 廃墟だけではない



 鹿児島県というところは、一部をのぞいてむかしながらの風情というものを残している場所が意外にも少ないのです。特に仏教寺院に関してはこれが顕著です。明治以後の廃仏毀釈が徹底して行われた鹿児島では多くの仏教寺院が破壊されました。

 名のある寺院もけっこうあったと思うのですが、悲しいことに今は「○○院跡」という碑や破壊をまぬがれた墓石や仁王像がわずかに残っているだけというところがほとんどです。

金比羅神社

金比羅神社(クリックで拡大)

 うちの近くにも小さな神社がありますが、その鳥居のそばには仁王さんが両脇を固めている姿を見ることができます。金比羅神社(正確には「金毘羅」のはずだがここでは金比羅と書いてある)ということになっていますが、何らかの仏教との関係があるのかもしれません。


金比羅神社
方柱四方梵字(クリックで拡大)

 梵字が書かれている四角い柱が鳥居の左にあります。その後ろには地蔵らしい石像。梵字はまさしく仏教原典そのものであり、深く仏教との関連があることを示しているといえます。

 そして「金毘羅」というこの言葉が「クンピーラ」というサンスクリット語(梵語)からきていると聞いたことがあります。

 ですから金毘羅宮そのものが、仏教との関わりが深いどころか、明治以前の、神と仏は本来同一のものだとする神仏習合思想の具体的な表れの一つだったのです。


仁王

右側の仁王像(クリックで拡大)

 こちらは右側の仁王さんです。かなり埋もれており、よく見ると右手がありませんが、ほぼ原型をとどめています。

 ところが左はというと…
仁王

左側の仁王像(クリックで拡大)

 地蔵の後ろに首のない仁王さんが、かくれるようにうまっているではありませんか。うちの近くにもこのような廃仏毀釈の爪あとが残っていたとは…。灯台下暗しでした。


 それはともかくとして、私が廃墟に興味を持つようになった要因の一つには、冒頭に書いたとおり昔ながらの風情を残したものが鹿児島では極端に少ないということがあげられます。

 指宿市でも、ちょっとむかしの風情が残っているところがあるにはあるのですが、これを保存しようという積極的な動きがほとんどありません。残念です。

 私が今いちばん行ってみたいところは、北九州の門司港レトロ地区です。こういうところを鹿児島の県や市町村も見習って欲しいものだと思うのですが、実態はう〜ん…です。私は古いものがそのままのかたちで残っているところが好きなのです。

 ただ鹿児島の場合、それが廃墟としてしか残っていないところが多い。確かに私は廃墟を訪ねるのが好きですが、廃墟だけを好んでいるわけではないのであります。


 最初はこの記事を『管理人不定期日記』の方に書いていたのですが、写真を撮っていたことを思い出し、『番外編』ということで独立したページとしてアップした次第であります。

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